雄琴の夫婦善哉
この三日間、関西方面に。さほどの成果もなく、先ほどアパートに戻ってきたばかり。
疲れているけれど、なにかいい映画でも見ながら寝たい気分です。
一昨日のことです。京都に着いたら、ベンツがボクを待っていた。
ベンツ! しかも、黒塗り、ですよ。
確かに、ベンツなんですが、Bクラスでしたぁ~。奥さんのマナミさんがお迎えです。
ご夫婦で小料理屋をやっている。京都大丸のすぐ側にこのお店があります。
もう…10年以上のお付き合いです。
「ねぇ、これメルセデスじゃん! スゴイねぇ。いつ、買ったの?」
「去年です。まだ3000キロです」
たばこは吸えないようだ。
「ダメだよねぇ?」
「かまいませんよ、私だって吸ってますから」
マナミさんは京都市内を東へとベンツを走らせる。
やがて途中、岡崎で用事を済ませ、コンビニでボクに缶コーヒーを買ってくれた。
「ハイっ! これでいいですか?」
「充分だよ」
山科から高速道路にあがる。
あたたかく甘ったるいコーヒーを飲みながら、車窓の右側を眺める。
はじめて見る琵琶湖なのだが、別に取り立てて書き加えるような…風景でもなかった。
マナミさんの新居は琵琶湖湖畔の雄琴というところに建てた。
セキスイハイムの新居は、豪邸です。自転車が乗り回せるほど広々としたリビングには、50インチの液晶ビジョン。
他に目を見張る品物は、…別に見当たらなかった。食卓があった、だけだった。
2階にあがってみる…。部屋がいくつかあったけれど、…まあ、完成したばかりなので、飾り付けだの置物の類はこれからのふたりの努力…しだい、でしょう。
お風呂に入って…このお風呂は気に入った。湯船についているボタンを押してみたら、もの凄い音がして、湯船のお湯が泡だって、その泡が勢いよくボクの体にぶつかってくるではありませんか。
ジャグジー風呂、だそうです。
「ねぇ、マナミちゃ~ん。ちょっと来てょ~。この泡、どうやったら止まるのよぉ。もの凄いよぉ。コワイよぉ。止まんない…」
マナミちゃんが飛んできた。
「ここのボタンを押せばいいです」
「先に言ってよ、ねッ」
「ジャクジーするって言ってない!」
「…」
で、おもしろくて20分以上は湯船で遊んだ。
あがると、
「お腹減っちゃった。なんか、食べるの、ない?」
いただき物のカレーしかないと言うので、それを食べた。
「どうぉ、味は?」
「うまくない、これ…薬の味みたい」
「でしょ、でしょ。だれも食べないのよ、それ」
「誰が持ってきたのよ?」
「業者の人。ウチのお店でメニューにして欲しいみたい」
「…」
そうこうしているうちに、ダンナのタカシ君が帰ってきた。
お寿司を大量に作ってきた。もちろん、お刺身も。
「まさみさんが来たからには、ハマチのとびっきりを刺身にしてきましたから、ばんばん喰って…」
ヘンテコなカレーを出したマナミちゃんが後悔している。顔にそう書いてあるのがわかった。
ボクもまさかお刺身が来るとは…しまった!いま、お腹いっぱいだわ、どうしよう。
「しかしなんだねぇ、このテレビ。デカイねぇ。タカシ君、このテレビ、スゴイじゃない!」
「それだけが自慢です、ハイ」
「立派、立派。最高だよ!」
「刺身は…」
「んーーー、あとでいいんじゃないか…」
冷蔵庫にしまった。ホッとした。
「で、タカシ君。どんなソフトがあんのよ? 見せてよ」
ボクは決めていた。寝場所はリビング、50インチ液晶ビジョン前にフトンを敷くのだ、と。
いい映画のDVDソフトでも見ながら…そう思った。
「あの…ですねぇ…ソフトは、ないんですわ」
「ない? 1枚もぉ。ウソだろ」
「ホントに。地元有線だけで…」
「今何時だよ!」
「11時過ぎましたが」
「この近所にビデオ屋は?」
マナミさんがびっくりして
「いまからぁ~」
「ヘン、か?」
結局、三人揃って夜な夜なBベンツでビデオ屋へ。
「活劇、絶対に。だめならサスペンス!」
「やだ! ラブコメがいい」
「やめましょうよ、ドンパチでスカッと! これで行きましょう!」
ごちゃごちゃモメたが、借りたのは、新作「幸せのポートレート」。
ボクは最後まで見ることなく、大型ビジョンの前で眠ってしまった…。
働き者で人好きなふたりには、まだ子供がいない。
マナミさんはその話題を避けていた時期があった。
でも、ヒトミちゃんの出産のニュースに一番感動したのは、マナミさんだった。
まさに、泣いてよろこんだ。仕事の関係だろう、雄琴から東京まではなかなか行けそうにない。
「抱っこしたいね、美葉ちゃんを」
春になったら、呼んでやるか…ふたりを東京に。そして、途中で止まっている「幸せのポートレート」の続きをみんなで見ようか…。
ボクに、春の宿題が出た。
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文字をクリックしてね。忘れずに! ありがとう!
…まさみ…
疲れているけれど、なにかいい映画でも見ながら寝たい気分です。
一昨日のことです。京都に着いたら、ベンツがボクを待っていた。
ベンツ! しかも、黒塗り、ですよ。
確かに、ベンツなんですが、Bクラスでしたぁ~。奥さんのマナミさんがお迎えです。
ご夫婦で小料理屋をやっている。京都大丸のすぐ側にこのお店があります。
もう…10年以上のお付き合いです。
「ねぇ、これメルセデスじゃん! スゴイねぇ。いつ、買ったの?」
「去年です。まだ3000キロです」
たばこは吸えないようだ。
「ダメだよねぇ?」
「かまいませんよ、私だって吸ってますから」
マナミさんは京都市内を東へとベンツを走らせる。
やがて途中、岡崎で用事を済ませ、コンビニでボクに缶コーヒーを買ってくれた。
「ハイっ! これでいいですか?」
「充分だよ」
山科から高速道路にあがる。
あたたかく甘ったるいコーヒーを飲みながら、車窓の右側を眺める。
はじめて見る琵琶湖なのだが、別に取り立てて書き加えるような…風景でもなかった。
マナミさんの新居は琵琶湖湖畔の雄琴というところに建てた。
セキスイハイムの新居は、豪邸です。自転車が乗り回せるほど広々としたリビングには、50インチの液晶ビジョン。
他に目を見張る品物は、…別に見当たらなかった。食卓があった、だけだった。
2階にあがってみる…。部屋がいくつかあったけれど、…まあ、完成したばかりなので、飾り付けだの置物の類はこれからのふたりの努力…しだい、でしょう。
お風呂に入って…このお風呂は気に入った。湯船についているボタンを押してみたら、もの凄い音がして、湯船のお湯が泡だって、その泡が勢いよくボクの体にぶつかってくるではありませんか。
ジャグジー風呂、だそうです。
「ねぇ、マナミちゃ~ん。ちょっと来てょ~。この泡、どうやったら止まるのよぉ。もの凄いよぉ。コワイよぉ。止まんない…」
マナミちゃんが飛んできた。
「ここのボタンを押せばいいです」
「先に言ってよ、ねッ」
「ジャクジーするって言ってない!」
「…」
で、おもしろくて20分以上は湯船で遊んだ。
あがると、
「お腹減っちゃった。なんか、食べるの、ない?」
いただき物のカレーしかないと言うので、それを食べた。
「どうぉ、味は?」
「うまくない、これ…薬の味みたい」
「でしょ、でしょ。だれも食べないのよ、それ」
「誰が持ってきたのよ?」
「業者の人。ウチのお店でメニューにして欲しいみたい」
「…」
そうこうしているうちに、ダンナのタカシ君が帰ってきた。
お寿司を大量に作ってきた。もちろん、お刺身も。
「まさみさんが来たからには、ハマチのとびっきりを刺身にしてきましたから、ばんばん喰って…」
ヘンテコなカレーを出したマナミちゃんが後悔している。顔にそう書いてあるのがわかった。
ボクもまさかお刺身が来るとは…しまった!いま、お腹いっぱいだわ、どうしよう。
「しかしなんだねぇ、このテレビ。デカイねぇ。タカシ君、このテレビ、スゴイじゃない!」
「それだけが自慢です、ハイ」
「立派、立派。最高だよ!」
「刺身は…」
「んーーー、あとでいいんじゃないか…」
冷蔵庫にしまった。ホッとした。
「で、タカシ君。どんなソフトがあんのよ? 見せてよ」
ボクは決めていた。寝場所はリビング、50インチ液晶ビジョン前にフトンを敷くのだ、と。
いい映画のDVDソフトでも見ながら…そう思った。
「あの…ですねぇ…ソフトは、ないんですわ」
「ない? 1枚もぉ。ウソだろ」
「ホントに。地元有線だけで…」
「今何時だよ!」
「11時過ぎましたが」
「この近所にビデオ屋は?」
マナミさんがびっくりして
「いまからぁ~」
「ヘン、か?」
結局、三人揃って夜な夜なBベンツでビデオ屋へ。
「活劇、絶対に。だめならサスペンス!」
「やだ! ラブコメがいい」
「やめましょうよ、ドンパチでスカッと! これで行きましょう!」
ごちゃごちゃモメたが、借りたのは、新作「幸せのポートレート」。
ボクは最後まで見ることなく、大型ビジョンの前で眠ってしまった…。
働き者で人好きなふたりには、まだ子供がいない。
マナミさんはその話題を避けていた時期があった。
でも、ヒトミちゃんの出産のニュースに一番感動したのは、マナミさんだった。
まさに、泣いてよろこんだ。仕事の関係だろう、雄琴から東京まではなかなか行けそうにない。
「抱っこしたいね、美葉ちゃんを」
春になったら、呼んでやるか…ふたりを東京に。そして、途中で止まっている「幸せのポートレート」の続きをみんなで見ようか…。
ボクに、春の宿題が出た。
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…まさみ…
by masami-ny55
| 2007-01-16 05:08
| 日記