書きたくなかったこと

やられたら、やりかえす…という言い分を正当化したら、どこに真の「民主主義」があるのかって、思います。

旧約聖書の「出エジプト記21章24節25節」には、こんなことが書かれています。
「…目には目、歯には歯、手には手、足には足、やけどにはやけど、生傷には生傷、打ち傷には打ち傷をもって償わなければならない…」
この頃は奴隷制度がありましたから、主人が自分の奴隷の目を潰して仕舞ったら、その奴隷に目を返せませんから、その奴隷である辛い身を「自由の身」にしてやらなければいけない、と聖書には書かれてあります。
この言葉は、紀元前18世紀のバビロン王ハムラビが制定した有名な「ハムラビの法典」の中の「同害復讐法」(第196条以下)に出てきますね。
でも、その真意を知らないで間違った使い方をする方があまりにも多い事に気がつきます。
「目には目を」と定めたのは、やられたことは仕返しをして良いと「GOサイン」を出しているのではないのです。そんなことを言っているのではなく、それ以上の賠償は求めてはいけないぞ、という「ブレーキ」になっている教えです。むしろ、やられたら、やりかえす…という言い分を正当化してはならない、という戒めの法則です。繰り返しますが、この教えは紀元前18世紀、のことです…。現代は、この言葉から39世紀も経っているのです。

やられたら、やりかえしていい…。
これを繰り返していたら、いったいどんな世の中になってしまうんでしょう。不安で、怖くて、信じられなくて…身をじっと隠して、人とは関わらないようにして、依頼もなければ約束事もない、底冷えした世界になりはしないでしょうか。

911。
あの日、ボクは日本にいました。テレビ中継された「惨事」に、ただ涙がごぼれてしまったことをいまでも忘れられません…犠牲になった人はわかっているだけでも、約2450人です。
ニューヨークで暮らしていた頃、仲間たちと待ち合わに使ったり、上に登ってマンハッタンを一望したり、写真を撮ったり…あのビルにはボクの楽しい「想い出たち」がたくさん詰まっていました。
その後、あの惨事に巻き込まれた友だちがいたことを知らされました…。友を失った友だちがいることも知りました…。
ボクのNYの友だちに、音楽家がいます。彼がこうボクに言いました。
「ほんとはあそこに行かなければならないんだろうが…気持ちの整理がまだできない…」

5年経ったいまでも、彼はあの場所に足を向けることはありません。ボクもこの5年間、何度かNYに行っていますが、行く気にはなれません。まだ、「平和なNY」を実感できないからです。

あれから、5年…。
宗教戦争なのか、それともただの報復、復讐なのか…。
やられた国は、やった国(らしい)を相手に、戦争を続けています。
そして、やられた国は戦場に自国の若者たちを送り出し続けています。戦場に行って生命を落とした若者たちはおよそ2500人。911の惨事よりも、多い人の生命が失われています…
そして、相手国では民間人がおよそ4万人以上(わかっているだけで)も、生命を失っています。そうです、子供たちも、自由に歩けない高齢者たちも…です。鉄筋コンクリートのエアコンつきの住宅が一般的な世界一富める国が、泥で作った家に住む世界一貧しい国に現代兵器を持ち込んで爆撃を繰り返しているのです…。いつまで、続けるのでしょう、こんなことを。
そういう国家のリーダーに「いいぞ! もっとやれ!」って、ボクは応援できません。

これが、ボクの住んでいる現在の世界、です。
そして、あの国はいつもこんな調子です。あの国は「民主国家」なんでしょうか? それとも、実態は「資本家優先国家」なんでしょうか?
巨大な力を蓄えているだけに、あの国のリーダーの選択には「重大な責任」がありますね。
平和よりも、武力を選択したリーダーであることは間違えないのですから…。

…まさみ…
by masami-ny55 | 2006-09-12 16:26 | 日記


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