ユーガットメール#13 満員御礼!

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「手紙の舞台」をはじめて12年間、この夏で13通目をお届けできました。

ご来場いただけた皆様には、いかがでしたでしょうか?



この夏は、夏目漱石先生の「坊っちゃん」を題材にしての音楽劇。
題して「坊っちゃんからの手紙」です。


さて、今回の自己評価はというと…正直、あまりよい点数は出せないのです。


40点


どんなにひいき目に見ても自分ではこの程度だったということです…。



原因は台本が即席だったから、十分な読み返しが出来なかったこと。
これが、ちと、癪に障るのですよ…ハイ。
ここをこういう台詞にすればよかったのに、とか…後悔する箇所が目立ったことですね。



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病院生活が長かったから、思い通りことが運ばなかった。なんとなく、いらいらしながら書いていたので、満足感やボク独特の「自分でも笑っちゃう」ことが一切なかった。しかも、入院していたから資料も十分に読めないのですよ。なので、想像の世界が膨らんでこない。まあ、これも言い訳。

こんなことを言っているのだから、よい点数は出ないのも無理はないでしょ…ねッ。

夏目漱石の世界はどちらかというと、ボクには得意としていない世界なのですよ。そのうえ、夏目漱石って日本人のほとんどが知っている超有名作家でしょう。「漱石マニア」もたくさんいると聞いておりますし…。
こうした超有名人を題材にするのは、ボク、昔から気が乗らないのですよ、ね。
でも、去年「やってみる」って言っちゃったし…。

ボクにとって漱石先生って、典型的な「優等生の世界」との印象が子供の頃から強すぎまして、取っつきにくいのです。小学生の頃、学級委員をしている育ちのいい少年がいましたが、将にそれ。勉強の成績はいいし、運動もまずまず…という優等生って皆さんも子供時分に見かけませんでしたか?

そんな感じが、ボクの漱石観なのです。

かと言って、どうあれ漱石の周辺を台本にするのですから、久々に江藤 淳 先生の「漱石とその時代」(新潮選書)の5部作を買い込んで目を通してみました。これがまた、大いに役立っちゃって…漱石の「アンチョコ」みたいでした、ハイ。(「アンチョコ」って、ご存じ?)

本当は、真之と子規の関係をもっともっと描きたかったのですが、なにせこの舞台は「ファミリーコンサート」なので、あそこまでが限界でしょう、ハイ…。あれ以上書くのなら、最低あと1時間の芝居場面が必要だし、テーマが、ちと、重たくなります。「ファミコン」って訳にはいきません。本格的な舞台になっちゃう。

とかなんとか、なにかと自分で制限をかけながら創った台本なので、なかなか書いていて、日々満足できなかったのですよ。
得意の世界を書くのだったらもっと書きようがあるのだろうけれど…。

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ただひとつ、今までとは違ったことがありました。

それは「手紙」です。

今回も古い友だちから「よかったなあ…いつもいつも感心させられるよ、あの手紙には」と、いってもらえましたが、「手紙の中身」が例年とは違っていました。

過去の舞台で使った「手紙」は、全部ボクの創作の世界なのですが、今回はそうはいきませんでした。実在する夏目漱石、正岡子規、秋山真之、滝廉太郎…ですので、彼らが実際に書いた手紙が残されています。漱石全集にせよ、子規全集でも、日本音楽史などでも、彼らが残したその「手紙」の朗読を、柳沢三千代さんがやってくれたのです!

彼女は、稽古中、雨宮さんのピアノ演奏でのBGMの指定は、ご自分の判断でやっていましたし、衣装もなるべく「オンナ」が出ないようにしようとの意図で、なんども稽古場でボクと相談しました。
とくに、漱石の長文の手紙はなんどもなんども繰り返して、発音のチェックをしていました…。あんなに熱を込めた稽古を見るのは、ボクは初めてでしたね。



ところで、出演者たちの「手紙」に「歌」、そして「お芝居」には、よい点数をいただけた、と思ってますが…どうでしょう。
お客様からの声が届くたびに、うれしい評価のことばが続く。ありがたい。

水野さんはわずか3日間で仕上げてもらった。さすが、です。
秋山真之と正岡子規の場面は、ふたりには得意の「歌」をさせずに、「芝居」だけにしました。
むしろ、それでよかった、とボクは思っています。

ボクのこだわりである、「ナマ音」「ナマ声」を理解してくれる雨宮バンドとももうかれこれ、4年のつきあいになりました。ドラムの松田君は現在はボストンのバークレーで音楽の勉強中ですが、この公演だけは「参加しますからね」と、自分でも楽しみにしているようです…。
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…とにかく、ここで13回目が無事に終了。
3公演では、古い友だちが来てくれたり、新潟や広島などの遠方から足を運んでくださったり…ありがたい。「元気をもらった!」とか「懐かしい歌がよかったよ!」とか、特定の役者さんを「好評」してくださる方もおられました…。新人のソプラノ、茂木さんと宮ヶ原さん、ありがとう!

拍手!

さて、また続きますからね。
そうそう、そうでした。今回、新しい記録が出ました! お教えします!
観客数がいままでの「ユーガット」史上、最高の席数になりました。ボランティアの方々はじめ、出演者たちもがんばってくださったおかげです…。

来年は、芥川賞作家・由起しげ子原作「女中っ子」を題材にした舞台を書きますが、なんだあ、再演かあ、などと軽々しく言わないでほしい。今度こそ、日本劇作家協会会員に恥じない台本を皆様に提供するとともに、自分でも満足できる舞台に仕上げて、皆様と再びお目にかかりましょう!
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…まさみ…
# by masami-ny55 | 2014-08-25 13:29 | 日記

まるで「同窓会」です

今年の夏も、舞台を作ります。こういう夏を過ごすことを始めて、すでに10年以上になりました。
だから、友達は常連のお客様になって、家族連れで劇滋養に足を運んでくれます。ありがたいことです…。

まだ台本が完成していないのに、劇中使う「音楽」の稽古は始まっています。ボクの舞台創りの最大の特徴は、台本が完成していなくても、まずは「ハーモニー」を先に創っておくようにしてあることです。これを始めておくと、新しく仲間になった俳優さんもみんなとすぐに打ち解けてくれます。チームワークが出来上がっていくからです。

さてさて。
今年はいろいろとありました。ボクが大病になったことで、昔の仲間がお茶の水の病院まで、たくさんお見舞いに来てくれました。その仲間たちが、この舞台を見に来てくれる、との報告も聞きました。
うれしくなっちゃった、ですよ。
和田清ちゃんが妹さんとワカツキさんも誘って来てくれるそうです。NHK教育番組のディレクターのリカちゃんも、北海道からは元看護婦のハマイチさんも…。まあまあ、なんだかどっかの学校の「同窓会」的雰囲気になってきましたぞ。
昔、7リーダーズという授業のクラスがありましたが、このクラスは全員がお茶の水まで来てくれましたし、この舞台にもきてくれるそうです…。


もらった命、とか、拾った命、とか、人はそんな言い方をするときがありますが、ボクにはそういう言い方が実によく実感出来ます。一旦は諦めたこの命だったのに、なにかが巡り巡って、命がここに戻ってきた…。いや、まったく新しい生命がここに…。

ボクはこの新しいなった命を使って、旅に出ることにします。
新しい人たちとの出逢いを求めて…。そういう「夢」を抱く人たちとともの旅をしていきます。
いい人生を生きるために…ね。

…まさみ…
# by masami-ny55 | 2014-07-28 10:58 | 日記

生きて…出逢って…人を想う

生きているのが当たり前、とさえ自覚しないほど無意識だったボクのいままでの命。それが今回の「ふたつのガン手術」を体験して、「当たり前の命」なんてどこにもないことを、骨身に滲みた。

ガン治療の世界的進歩をここで論じて、その恩恵にあずかるボクたちをよろこぶことは簡単にできる。人とのかかわりに感謝することも出来る。
病室の大きな窓際にボクのベッドはある。ここは15階、東京が遠望できる。ボクのふるさと・東京が眼下に広がる…。

ボクは、自分の目でそれが見える、いま。

ボクがこんな病気になってから、旧友と再会が増えた。再会して、また学生時代のように話がはずみ、何か又創ろうよ、となる。
突然ボクの前に現れた「子規」の俳句と和歌…。なんでいまボクは「子規」と話をしなければならないのか…。
愛だの恋だのとは無縁のものがりを書いてきたけれど、小説三昧の青春は所詮「ラブのお話」ばかりだった。

「子規」はご承知の通り 命を賭けるものがあった。「俳句」と「和歌」である。まさに、子規はこれに命がけだった。子規がいなかったら、現在の日本で俳句と和歌は埋もれたままだったかも…。
つまりボクは子規を文学者だとはおもえなかったのである。別格の文人。
明治の若者・子規は「素直さ」と「不器用さ」がある。これはいかなる日本の文人はこの資質に勝る人はいないとボクは想う…。

ま、とにかくいまになって避けていた人がボクの真ん前にどかんと坐り込んでしまった。

漱石の「坊っちゃん」を題材に台本を書くはずが、子規が出て来たのでとんだ大騒動の台本になりそう…。

創作が変われば、ボクの生き方も変わる。
人を想う…とは、なんという幸せ感であることか! と。連日病室には友達が立ち寄ってくれる。田舎の友達は電話で「そろそろ好物の巨峰でも送りましょうか?」という。イギリスから戻った友は、例の「高級蜂密の瓶詰め」持参で「わ~~っ! 元気元気! お肌つやつやじゃないですか!」
千葉県の役人さんはガラに似合わずいつも上手そうな焼き菓子を持ってくる。「はい、これ。食べて下さい」静岡の銀行員からは「新茶」が届く。「冷やしてみて…」だって!埼玉の国語の先生はさすがにボクの好みを御存知。「退院したら、浅草のむぎとろ、届きますからお腹いっぱいにしてくださいよ!」とのこと。芸能生活55年の俳優は「ポールスチュワートのパジャマ」。松方弘樹さんが入院するんじゃないのに…ね。笑顔を届けてくれたのは千葉の友達。「元気な姿を見たからそれで十分!」 そうです、この「ことば」がなによりのプレゼント。

人が人を想う光景…。ボクは子供の頃からそれが大好き。
はがきでも、便せんでも、相手を想う…いたずらっぽい、けど。

人は友だちなど居なくても独りでも生きていける。人と関わるめんどくささがない、勝手に生きられる、と。それも正論なんだろうけど、でも、ボクにはそれが出来ない。…出来ない。

ここ順天堂病院でも、日本でも超有名な川崎先生が直に執刀して下さったが、「マサガズさん」と灘名をつけた。そう、田村正和バリのいい男なのである! それに、クマゴロウ先生…などなど。

生きて、出逢って、人を想う…。
ボクの命は、いままで知らなかった人との出逢いがなくては、いま生きてはいない。

生き続けてみようと想う…。


…まさみ…
# by masami-ny55 | 2014-07-11 22:43 | 日記

闘い!

6月23日にお茶の水順天堂医院(正しくは医院。病院とはただの呼び名)に入院し、1週間はぶらぶら。手術に必要なほんんどの検査は入院前に王子病院で済ませてあった。まあ、余裕の時が流れる…。

「1階には山の上ホテルレストランがはっているぞ! さすが順天堂医院だ! 」
と、入院開始と同時にさんざんメニューを撃破していく…。
「お昼? さっき下のレストランで済ませたからいいやぁ~」
と、病棟にいる看護婦さんに余裕の報告などが続く…。明らかに不良患者になり下がっていた。

ただし、これだけは地獄のトレーニングになった。それは、午後9時消灯、の絶対ルールである。

なにせ病院とは健康第一を旨としている場所。消灯は午後9時と世界の常識だ。
寝付かれないから…といって薄暗くなった病棟の廊下をほっつき歩くわけにも行かない。ボクにとって、「健康第一主義」の場所は、子供の頃から苦手。薄暗い映画館で育った身にはここは将に拷問だった。王子病院も消灯時間は同じだが、あのときは腸内に付着、たまった便を出すという作業があったから自然に眠りに落ちていたが、今回は本人「病気の自覚」がまったくない。

さてさて。
「今回は拷問だった…」などと、不謹慎な余裕をみせていたのだが…。

いよいよ、時来る。
6月30日、午前8:30、ベッドを離れて2階の手術室に!
思わず「わっ!」と、驚嘆の声。なんつーか、ですよ…スピルバーグ監督の「未知との遭遇」のシーンを思い出す大円形のスペースの中央に向って、それを囲む四方八方並びに上下から、クリスタルブルーの光線が照らしているのです。その中央にボクのベッドは運ばれたのです…。
「では、背中に…」

と、記憶はここまで。麻酔薬で、全身麻酔。すぐ、てした。気絶、です。
まあ、王子病院の手術と変わりません…。

遠くの方で、ボクの名を呼んでいる人がいる…。
その声で記憶が自分に戻った。気がついたら今度は同じ大円形だが、光は普通の色です。どうやら、こんばんはこの中で眠るようです…。
8時間は手術をしたようでした。

翌朝、7月1日。病棟に戻る。
この日を境にして、ボクの闘いが始まりました…。

…まさみ…
# by masami-ny55 | 2014-07-11 21:24 | 日記

浪 静か…

ロシアのバルチック艦隊を見つけたとき、真之が大本営にこう打電した。

敵艦隊見ユトノ警報ニ接シ
聯合艦隊ハ直チニ出動 コレヲ撃滅セントス。
本日 天気晴朗ナレドモ 浪高シ

と、冷静に的確にこれからの行動を報告したが…。
真之は勝利は不可能とされた日本海海戦において、圧勝して、生きて返ってきた。
親友の子規はその年にはすでにいない…。

いよいよ、ボクの決戦日が決定!
明日、月曜日早朝7:00病室で検査。8:30手術室にて「肝臓がん」摘出手術。45%を摘出するとの報告だが、その戦いの中で「敵・がん」を新たに発見次第これを撃滅せんとの作戦はすでに聞く。
今日、さらに「新たなる敵」を発見との報告も聞く。それは、胆嚢(たんのう)に、胆石が多数あり、とのこと。医師によれば「不幸中の幸い。万が一にもこの中の胆石が胆嚢の管にこぼれていたとしたら…大変なことになっていた」と。

そして、医師は力強くボクに宣言する。

「ついでです、胆嚢も削除します!」との、頼もしき報告。
「撃滅! 存分に!」と、答えようとしたが、チャンバラごっこみたいになるので、
「お願い致チます」と、少年のようにさわやかでどこか恥ずかしさを残して、軽く会釈しながらそう応えた。満点の返事のしかただろう。

まさしく、我の身体は、刻一刻と、戦いを続けるほどに「新身体」になっていく…ぞぉ。


明日の月曜日、集中治療室なる部屋で独り、一夜を明かすとのこと。寂しさを感じたら、生きている証。
だが、戦いは明日で終わるのでない。その後の戦いこそ、「生きるすべての戦い」なのだ!

食する、排出、呼吸、血液の流れ、心拍数、白血球の値、視力、聴力、身体の運動などなど…その後の戦いは枚挙にいとまがない。
「しばらくは、なんらかの点滴が身体に付いているので、その間当分はこちらの指示通りに…」

と、春日局みたいなことを平気で言うここの看護婦ちゃん。その出で立ちは、ピンク…。なぜか、全員が容姿端麗…揃い! この辺がここ順天堂病院の人気の原因なのか…「鶴の恩返し」の「鶴」みたいな、きれいだけど影がありそう…消極的っぽい、みたいな人はいない。実に、おやさしい…のよ。
そのうちの何人かのご婦人にはすでに、「付け届け」は、すませた。そこはぬかりない。

削除しても臓器の切れ口から「毒の液体」が流れ出る由。これをクダをつけて体外に放出する。
傷が凄い。
ミゾうちからおへそまで垂直に30センチ、そこから直角に右に30センチ斬る。
そして、肋骨の下にある肝臓のバイキンたちを我ら順天堂病院の外科医チームが全軍でこれを叩く。総指揮官は、膵臓外科では天下にその名を轟かせておられる…なんだっけ、ホラ…川崎先生でしょ!…が、自らボクの戦いに参戦してくださる。と、本日、確認する。
なんと、川崎先生がお一人で、ボクのベッドに朝方来られて、
「では、明日…」
「ハイ、よろしく…」
挨拶こそ短いが、このことばに両人の決意が込められていた。

体内に潜むすべての「バイキン」を叩く。撃滅せんとす!
もし、勝っていたら…
ボクの指が今のような動作が出来るのなら…
来週の金曜日には…再びこのブログに新たなる記事が載ることだろう…。


…まさみ…
# by masami-ny55 | 2014-06-29 12:39 | 日記


東京の日常生活と、仲間たちとの交遊録


by masami-ny55

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