旧友たち

ようやく、というか…。
昨年からの「宿題」が昨日、終わった。旧友トモちゃんの情熱がなかったら、きっとボクはやり遂げられなかったと思う。トモちゃんとはもう10数年のつきあいだ。そもそもボクを作家にしたのも彼だった。
銀座で飲んだくれていたボクに「この企画で是非経営トップの物語を書いて欲しい」と言ってきたのは、まだ記者をしていた頃。「そんなすごい企画だったらボクじゃなくて、ああいう作家がいいと思うけど…」と、やんわり断ってもトモちゃんは「いや、あなたが書くべきだ」と引き下がらなかった。
そんなことで無名のボクが経済物語を書くことになった…。そしたら、経済本なのにかなり売れちゃったのですよ。書店で並んでから1週間もしないうちに「今度はこのテーマで…」って、すぐに次作を催促してきた。で、書き上げて出してみたらそれも結局売れちゃった。
会社は大手の出版社。会社には黙って書いたけど、バレてこっぴどく叱られちゃった。結局、社長さんがボクと編集局長との仲を修復してくれた。そしたら「じゃあ、この連載を書き上げて出版しろ」ということになり、親会社の名前で全10巻の経済物語を書き上げたのは、もうかれこれ…昔の話。

あれからボクは作家業が厭になった。もともと、作家って人種は好きではないのですよ。
銀座での飲み方をみても、話す話題にしても…好感が持てる作家は限られていました。ボクと同年輩にはことさら厭な感じがしていました。行儀が悪い、ということなのかなあ…。ただ、銀座でもとくにバカ高いお店に集まる大先輩たちと会うと、雑談の妙味というか、彼らの話、それだけでも「ひとつの文章、物語」になっているようで、感服したこともありました。毎晩通った銀座には当然ボクなりの恥ずかしい話もあるけれど、あれもこれも、いまとなってはボクの青春の想い出に残り、忘れられない物語です。
ボクがこうなっているように、おそらく銀座もだいぶ変わってしまったと思います。

9月中旬、書店に並ぶかな…。
誰でも知っている話を書いただけだから。あの頃のような精力的な取材はしていないかも…。
ただ、今回の企画で楽しかったことは、昔の仲間たちと会えた、ということです。日経新聞の旧友記者とも久々に話ができたし、商社の広報に出向いて昔話に花が咲いたり、ちりじりばらばらになったかつてのビジネスマンを訪ねて話したり、旧友と電話で声が聞けたり…。ボクの古巣である新聞社の「たったひとりの部下」と編集局長になっていた昔の上司も写真部の仲間も、今回の書き下ろしに協力してくれたり…。みんな、相変わらず「生意気」だったので、ホッとした…。あの頃と変わりなく、元気でした。

マスコミの世界から離れたボクは、今回、浦島太郎だった。
そう、すべての仕組みが変わってしまったジャパンビジネス…。怖かった。「その程度のことはコッチでやっておきますから」なんて声を聞くことがなかったし、「書面がないと」だの「すでにその人はウチとは無関係ですから」とか「個人情報守秘義務がありますし…」だの、である。そう答えるのは、明らかに「現代の若いビジネスマンたち」だった。取材ができない日本社会になっていた。
 神田古本屋で「社史」を売っている店があるから、行って資料にしようとした。すると、その店が見当たらない。隣の店に入って「どうしたのか」と訪ねたら「個人情報守秘義務が法律になったから、社史は売れなくなったのですよ」と言う。これでは、日本経済実録史が途絶えてしまう。いま生きる、その間だけが「人生」という、とってもとっても、ちいさな時間だけになってしまうのでないか。自分が生まれてきたこと自体に「物語」があることを知らなくていいことになるし、いや、知ることができなくなる。ということは、「今後どう生きたいのか」という「夢」すら言わなくなってしまう。企業史とて、同じことだ。いま会社で仕事をしているだけ、それでいいことになっちゃう。このままだったら日本って国から本当の意味で、「創作自由空間」がなくなってしまうのではないのか…って、怖くなっちゃったのですよ。

本が売れなくなったという。もういい、そんなこと…って、あきらめて生きるか、それとも、こんなご時世だからこそ、なんとかしてみるか…。やるだけやってみましょうか、ねぇ。こんなの日本じゃないよ、ねッ。全然関係ないけど、ボク、日本国憲法前文が大好きなのですよ。中学生のとき、先生が大きな声で朗読してくれたけど、ボクそのときものすごく感動しちゃって…ね。あそこの書かれている日本国がステキなのですよ。そんな日本にしたいな、ってあのとき思った。いまの日本、違う気がする…けど。

…まさみ…
by masami-ny55 | 2008-08-26 11:11 | 日記


東京の日常生活と、仲間たちとの交遊録


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