ヒトミちゃんの出産

ヒトミちゃんが女子を出産した。
10月31日午後12時30分頃、らしい。
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…昨日から、ヒトミちゃんの体調は正常ではなかった。元気者の彼女が、気分が悪いから、と言って家から出なかった。妊娠高血圧症、と言ってたが、ボクはさほど気にしなかった。妊婦になると、そういう症状になるご婦人方は多いとのことだったから…。
出産予定日は12月10日あたりだと、夫のタカシ君から聞いていた。

昨日、病院に行ったヒトミちゃんはそのまま入院になった。そして、「明日…」と、タカシ君が電話で連絡をくれた。ボクは、ゾッとした。
タカシ君からの電話は、ボクが久々にムッちゃんとその友達と後楽園のレストランでおしゃべりをしていた最中に入ってきたのだ。ムッちゃんは「新たなる言語」に興味を持ってくれて、授業に参加する申し込みをしていた。その話の輪にいたカヨちゃんは大ハシャギ。みんながムッちゃんの復帰によろこんでいた、その時にタカシ君からのこの電話だった…。
ヒトミちゃんとは長年の友達付き合いをしているカヨちゃんは、顔が真っ青になっている…
カヨちゃんも30歳後半で初めて出産し、その子が11月3日で満2歳を迎える。ヒトミちゃんの容態が他人事ではなかったのだろう。おしゃべりなヤッちゃんも、言葉が無くなって表情が止まった。
「なあ、大丈夫なんだろ? ん?」
ボクは意味のない同意が欲しかったが、女性たちは無言が続いた。
「34週かぁ…」と、女性たちの声に不安の影。

「大丈夫!」

その声を出したのは、ムッちゃんだった。
ムッちゃんは、未熟児で生まれたという。2ヶ月も早く生まれて、しかも30年以上も昔のこと。現在の医療環境に比べれば、そうとうにヤバかった、というのだ。1500グラム程度で生まれたけれど、こんなにビンビンしてるでしょ、私がそうだから、心配ご無用…というのだ。
その場は、ムッちゃんの一声で笑顔を戻った…。

そして…今日のこと。
女子が、予定より2ヶ月も早く生まれてしまった。1500グラム、だそうだ。
タカシ君がノコノコ事務所に登場したのは、午後5時過ぎ。「どうだったのよぉ?」ヤッちゃんの心配が、この言葉に乗っていた。ところが、肝心のタカシ君は「疲れた」「ちょっと、感動」「動いてた」「医者が来て、おめでとうって言ってました」「写真、撮ってきたらみんな、見る?」
あ~~~ッ。

「母子ともに、元気」

早く、その一言を言え! もう、まったくぅ。

ヒトミちゃんは、「母親」になり、タカシ君は「父親」になった。
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予定より2ヶ月も早く生まれた女の子は、こんなに大騒ぎして生まれてきた。
で、ボクはこの時病院にいるヒトミちゃんと、「無名の新人サン」のことを思った…。
医療技術の進歩によって、ヒトミちゃんとタカシ君は子供を授かったのだ。どんな形であるにせよ、これが「出産」であろう。ヒトミちゃんは、きっと様々なリスクを覚悟しての「出産」だったに違いない。もし、ヒトミちゃんが「体調が悪い」とか「いまは子育てできない」「経済的に無理」とかいう理由から、子供が出来ても、生まないという選択も出来た。しかし…。

ボクは想う…。
ヒトミちゃんが「この子の命を無くしてなるものか。育てる!」って、決めてくれたから、1500グラムの女の子は「生きるチャンス」が授かった。時々ボクたちは、自分の人生を自分で生きてきたような、そんな生意気なことを言ったり、考えがちだ。
「自分の力で生きている」と言う人も大勢いる。

そうだろうか?

ボクが今生きているのは、ヒトミちゃんがそうなように、みんなみんな自分のお母さんに「生きるチャンス」をもらったのではないか、とボクは思う。母親が「この命を育てる」と、決断してくれたから、ボクたちはこの世に出ることが出来た…と、思うのですよ。
ボクの母はもうとっくに他界しているけれど、ボクが弱音を吐いていると、「しっかりしなさいよ! 男だろ!」という母の声がどこからともなく、聞こえてくるのですよ。「そんな男にするために私はお前に生きるチャンスを与えたのではない!」と、言わんばかりに…。で、ボクは母が生きいるうちにしたくても出来なかったことを、成し遂げることが母への「報告」になると思っている。父が出来なかったことを、このボクが成し遂げてみせる、と。そのためにボクはこの命を両親からもらったんだと、そう思うのですよ…。

ヒトミちゃんと1500グラムの「無名の新人さん」を想うと、そんなことが頭をかすめていきます…。

タカシ君は「今日、名前を考えようと思っています。葉って字を入れたいんです。緑の新鮮な、太陽の陽射しをいっぱいに浴びている葉っぱの、葉、です」

で、ボクが「美しい葉ってのは、どうだ? 美葉と書いて、みは、とふりがなを書くけれど、音は、みわ、と聞こえるかもしれない…。美葉子っていうのも、おしゃれだなあ…」
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聞いていたタカシ君は、目頭を熱くして「いいなぁ~~。明日、ヒトミちゃんと相談して…」
タカシ君もヒトミちゃんも、画数だの占いごと、は避けている。第一、現実にいまニュースになって登場してくる子供たちの名前は、そのほとんどが画数だの占いだのに頼って付けた名前が目立つ。
犯罪に巻き込まれるのは、子供のせいもあるかもしれないが、所詮親御さんの教育だろうと、ボクは思う。名前のせい、ではあるまい。
子供がどう生きるか、その教育は所詮親御さんがしなければ。名前さえあてがえば、安心、ではあるまい…。確か、空海がこんなことを書いていた。「一文字大宇宙」と。漢字一字に、宇宙がある、と。「空」と「海」…文字は二文字でも、字を見れば、人はそれを連想できる。
しかし、最近は意味不明な漢字を並べて名前を付ける親御さんが増えているように感じる。
ヒトミちゃんとタカシ君夫婦には、そんなことはして欲しくない。

子供の名前に親御さんの「希望」が光っている。
こんな人間になって欲しい、こんな人生を過ごして欲しい、との「願い」が込められている、そんな名前にして欲しいなッ。
子供の名前とは、親が我が子に贈る最大のプレゼントなのだから。

タカシ君は徹夜してまでも、考えていいですよ。
1500グラムの自分の「希望の星」に、どんな名前を贈ってあげるのか…。

おめでとう、ヒトミちゃん!
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…まさみ…
by masami-ny55 | 2006-11-01 05:30 | 日記


東京の日常生活と、仲間たちとの交遊録


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