生きて…出逢って…人を想う

生きているのが当たり前、とさえ自覚しないほど無意識だったボクのいままでの命。それが今回の「ふたつのガン手術」を体験して、「当たり前の命」なんてどこにもないことを、骨身に滲みた。

ガン治療の世界的進歩をここで論じて、その恩恵にあずかるボクたちをよろこぶことは簡単にできる。人とのかかわりに感謝することも出来る。
病室の大きな窓際にボクのベッドはある。ここは15階、東京が遠望できる。ボクのふるさと・東京が眼下に広がる…。

ボクは、自分の目でそれが見える、いま。

ボクがこんな病気になってから、旧友と再会が増えた。再会して、また学生時代のように話がはずみ、何か又創ろうよ、となる。
突然ボクの前に現れた「子規」の俳句と和歌…。なんでいまボクは「子規」と話をしなければならないのか…。
愛だの恋だのとは無縁のものがりを書いてきたけれど、小説三昧の青春は所詮「ラブのお話」ばかりだった。

「子規」はご承知の通り 命を賭けるものがあった。「俳句」と「和歌」である。まさに、子規はこれに命がけだった。子規がいなかったら、現在の日本で俳句と和歌は埋もれたままだったかも…。
つまりボクは子規を文学者だとはおもえなかったのである。別格の文人。
明治の若者・子規は「素直さ」と「不器用さ」がある。これはいかなる日本の文人はこの資質に勝る人はいないとボクは想う…。

ま、とにかくいまになって避けていた人がボクの真ん前にどかんと坐り込んでしまった。

漱石の「坊っちゃん」を題材に台本を書くはずが、子規が出て来たのでとんだ大騒動の台本になりそう…。

創作が変われば、ボクの生き方も変わる。
人を想う…とは、なんという幸せ感であることか! と。連日病室には友達が立ち寄ってくれる。田舎の友達は電話で「そろそろ好物の巨峰でも送りましょうか?」という。イギリスから戻った友は、例の「高級蜂密の瓶詰め」持参で「わ~~っ! 元気元気! お肌つやつやじゃないですか!」
千葉県の役人さんはガラに似合わずいつも上手そうな焼き菓子を持ってくる。「はい、これ。食べて下さい」静岡の銀行員からは「新茶」が届く。「冷やしてみて…」だって!埼玉の国語の先生はさすがにボクの好みを御存知。「退院したら、浅草のむぎとろ、届きますからお腹いっぱいにしてくださいよ!」とのこと。芸能生活55年の俳優は「ポールスチュワートのパジャマ」。松方弘樹さんが入院するんじゃないのに…ね。笑顔を届けてくれたのは千葉の友達。「元気な姿を見たからそれで十分!」 そうです、この「ことば」がなによりのプレゼント。

人が人を想う光景…。ボクは子供の頃からそれが大好き。
はがきでも、便せんでも、相手を想う…いたずらっぽい、けど。

人は友だちなど居なくても独りでも生きていける。人と関わるめんどくささがない、勝手に生きられる、と。それも正論なんだろうけど、でも、ボクにはそれが出来ない。…出来ない。

ここ順天堂病院でも、日本でも超有名な川崎先生が直に執刀して下さったが、「マサガズさん」と灘名をつけた。そう、田村正和バリのいい男なのである! それに、クマゴロウ先生…などなど。

生きて、出逢って、人を想う…。
ボクの命は、いままで知らなかった人との出逢いがなくては、いま生きてはいない。

生き続けてみようと想う…。


…まさみ…
by masami-ny55 | 2014-07-11 22:43 | 日記


東京の日常生活と、仲間たちとの交遊録


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