「秋夕(추석-チュソク)」

夜8時過ぎ。首都高から、スカイラインが大きく左に曲がって、東北道に入ったその時だ。
久々に丸い月が輝き、星たちの光さえ遮るほどに明るい。中秋の名月だ。

そう言えば、韓国は昨日から「秋夕(추석-チュソク)」だ。韓国でも天候が良ければおそらくボクが見ているこの「中秋の名月」が照らしているに違いない…。

旧暦8月15日の「秋夕(チュソク)」は、韓国における秋のビッグイベント。韓国の秋を代表する名節。ソルラル(旧正月)と並ぶ代表的な名節で、「ハンガウィ」とも呼ばれます。毎年、秋夕当日とその前後1日ずつが祝日となり、親戚一同が故郷に集まって先祖の墓参りをしたり、秋の収穫に感謝するそうです。
こうした秋夕の慣わしは、古く新羅時代(紀元356年~935年)に始まったと伝え聞きました。1年で月が最も明るく輝く旧暦8月15日には昔から盛大なお祭りが行なわれていましたが、徐々に名節としての風習が形成され、現在の行事になったようです。

庶民の台所である市場も大盛況。親戚一同が集うため連休中の食べ物をたんまり買って備えます。ただし、ご注意。物価はこの時ばかりと市場などでも3割程度お高い値段がついてしまうそうです。とくに、生もののお肉、野菜はどうしても需要が高いせいか、普段よりお高くなるそうです。

先祖供養の祭祀「茶礼(チャレ)」で使用する食材の調達も欠かせません。
茶礼床(チャレサン)と言う祭祀のお膳には栗やなつめ、野菜のナムルに肉、魚と、たくさんのお供え物がのるため、家庭の女性陣は買出し後も休む暇なく働き続けます。韓国には名節に体を酷使してその反動で無気力になったり、体の節々が痛んだりする「名節後遺症」という言葉もあるほど。主婦たちにとっては怒涛の日々の始まりです。交通機関も市場もデパートも人、人、人…。
韓国が1年で最も慌しく、しかし、活気に満ちた雰囲気に包まれるそうです。この季節が過ぎれば、各ご家庭ではそろそろ、冬支度になっていくのでしょうね。収穫と過ぎゆく秋を惜しみながら、韓国でもこの名月が明るく照らしているのでしょう…。


そうでした、ボクが興味をそそられたのは「パンボギ」という習慣です。
現在でもこの習慣が残っているのだそうです…。とんな習慣か、といいますと、聞くところによれば、ですよ。実は「会いたい人同士が日時と場所を決めて会う」というのですよ。なんでぇ、ただの「デートじゃん!」と聞き流さないでください。

その昔…といっても現在でもそのようなのですが、嫁入りした女性が実家の家族に簡単に会うことができないようでした。とくに、地方の旧家に嫁いだりすればなおのこと。そこで、秋夕後に実家との中間地点で会い半日ほど楽しい時間を過ごしていたと言います。「半分だけ会う」という意味の「パンボギ」の語源は、積もり積もった胸のうちの半分ほどしか、話せずに別れる、ということが由来したことばのようです。
まあ、これは嫁いだ嫁さんの場合ですが、友だち以上恋人未満のおふたりさんとか…。
「半分だけ会う」…っていう表現がたまらなくボクの胸にしみてきます。こう言うのって、ドラマだわ。じれったいのが、いいのよね。

家族同士の会話もだんだんと少なくなって来ている韓国、と言われる現代。それでも秋夕になると、どんなに離れていても家族親戚がひとつの場所に集まってきます。家族が仲睦まじく暮らし、先祖に礼を尽くすことを大切とする基本姿勢は、やはり日本も韓国も同じですね。家族の集まりは、アメリカでは「感謝祭」があります。「感謝祭」にちなんだ舞台劇や映画もたくさん創られています。

人が、家族とどう関わるか。
今晩大空を照らしている「名月」がそれを覗いていることでしょう…。

…まさみ…
by masami-ny55 | 2012-10-02 00:49 | 日記


東京の日常生活と、仲間たちとの交遊録


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