10通目「英雄からの手紙」

十年目を迎えることが出来ました。
これほど長い期間続けられましたことは、ひとえに皆様のご愛顧の賜と深く感謝しています。
「ありがとうございます」
今回は、「英雄からの手紙」です。

私個人の文通相手がニューヨークのピアニストだったことから、岡田誠君とジョイントして原宿にある小さなホールで「You’ve got mail」と題して音楽会を創ったことが、そもそもの始まりでした…。
その翌年から、文京シビックホールで第2回から第9回まで続けました。この間、ピアニストの石野真穂さんや二期会の大スター・林美智子さんにも友情出演していただきました…。

常連の皆様にはすっかりおなじみになりましたが、この舞台の特徴は「マナ歌・マナ声」です。舞台装置は一切なくて、俗に言う「カラ舞台」です。使っている音楽はクラシックのアリアからミュージカルソング、世界民謡に唱歌、流行歌にディズニーソング、アニメソングなどあらゆる分野を使います。出来るだけ、皆様がよくご存じの曲を選んでいるのもまた、この舞台の特徴です。

簡単そうに思われるでしょうが、実はこれがくせ者。ご覧になるお客様にはなにひとつご心配をおかけいたしませんが、役者たちはヒヤヒヤものなのです。
芝居が出来る…だけではこのイタには乗れませんし、歌うだけの声楽専門家もご出演いただけないのです。ですから、毎回キャスティングに四苦八苦します。しかも、大ホールでナマ声ですから、稽古場は大きくないと稽古になりません。
このカンパニーは稽古の開始直前に、岡田君を中心にして全員が30分程度みっちりボイストレーニングを続けます。彼らには「準備運動」なのでしょう。

手紙。
これもまたこの舞台には欠かせないアイテムになりました。第3回でした。「様々な手紙たち」で登場して頂いた柳沢三千代さんの名調子で朗読する手紙たち。常連さんの中には「あの手紙が聞きたくて…」とのお言葉をいただいたときは、不覚にも胸を熱くしたものでした。
結婚間近の娘から父にあてたもの、アメリカ駐在員の手紙、東北弁で読むバッチャンの手紙、文学者の和歌を交えた手紙、アニメキャラクターの手紙など…様々な声彩で変化に富んだ異質の文体を朗読してくれます。日本を代表する声優さんには間違いないのですが、実はご本人、チャキチャキの関西人なんですよ。あれだけの「なまり」を自然に聞かせてくれるのですから…。いずれにしても、大変な勉強家です。いつだったか、文学者・山川登美子と与謝野鉄幹の文通(もちろん、筆者の創作)を台本したのですが、NHKまで足を運んで取材されておられたようでしたが…。頭が下がります。我がカンパニーの重鎮、です。

さて。
今回、ちょっとした演出上で「いたずら」をしました。
日本を代表するシェイクスピア「劇団AUN」(主幹・吉田鋼太郎)の女優・林蘭さん。すでに我がカンパニーの主軸ですが、この人の持ち味はなんと言ってもあの長台詞をきちんと聞かせる技をお持ちであることでしょう。しかも、見ているこちらは全く飽きない。前回の舞台でそれを証明しましたが、今回は、違っています…。極端までに台詞を減らしました。ということは、目の演技と体の向き、表情を「台詞」にせざるを得ないという役どころです。蘭さんは九州福岡出身。ですから、「九州の女中」役でしたら簡単ですが、これでは元気がありすぎて…やはりここは「東北の女中」役にこだわりましょう。
ご自分では「九州弁のシェイクスピア」を創作しているほど、お国ことばを大切にしている彼女。でも、今回は九州弁はいったん棚に上げていただき、「東北弁」で通します。歌も、です。
役者さんとして、この方が「燃える」はずですから、はい。

一方、「女中ッ子」に扮する福原美波さんは、今年、日本大学芸術学部演劇学科を卒業したばかり。日本でのシェイクスピア劇団の元祖ともいえる「劇団シェイクスピアシアター」(主幹・出口典雄)のオーディションに合格して、「ヴェニスの商人」でジェシカ役、「ぺルクリーズ」ではマリーナ役でデビューした久々の本格派。しかも、この舞台では「男の子役」ですから。
このおふたりをぶつけてみようと…。これは、ですよ、他ではまずあり得ないキャスティングですから、それなりにお楽しみ頂けると思います。

座長の山田展弘ですが昨年から両眼がともに見えにくくなりました。
現在、ほとんど見えません。しかし、「10周年なのでなんとしても(舞台に)あげてください。ここまで励ましていただいたお客様にも申し訳ありませんし…。やらせてください」と。ダメだ、とは言えません。
台詞は稽古場で、耳を目にしてすべて覚えてもらいました。役者魂、とは将に彼のこと。さすがは我がカンパニーの座長ですね。

山田君を一番心配していたのが、岡田誠君。この舞台のみならず、一緒にあがった舞台はたくさんあります。岡田君は宮本亜門一家の役者さんとして皆様にはお馴染みのことでしょうが、彼がその名を轟かせたのは、三谷幸喜さんの「オケピ!」でしたね。「あの歌」で一躍スターダムにのし上がりました。その岡田君ですが、恒例の「アレ」…、今年もちゃんとやります! どの場面になるのかはお楽しみに。

ボランティアの方々には、並々ならぬご援助をいただいてきました。
「ありがとうございます」
舞台で「なまはげ」が登場しますが、その衣装をふたり分創っていただきました。デザインを考えて、スケッチして、あれだけのものを完成してくれました…。
これだけの情熱が10年間、消えることなく続いているのは皆様が足を運んで下さる姿に尽きます。ボクたちの情熱の源は、ご来場下さるお客様の拍手であり、笑い声であり、声援です。
それを毎回与えてくださっていただけて、ここまで来られました。

感謝、です。

では皆様と劇場でまた、お会いしましょう…。

…まさみ…
by masami-ny55 | 2012-08-12 02:56 | 日記


東京の日常生活と、仲間たちとの交遊録


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