「空飛ぶブタ」の物語

今年の夏がきたら自作の音楽劇を公演します。いつも劇場で行う予定ですが、なにせ抽選なので日程が確定するのは2月にならないとはっきりしません。

今回で、10回目。年に一度ですから今年で十年目を迎えます。ところでこの音楽劇ですが、始めたきっかけはニューヨークに住んでいるピアニストとのメール交換でした。最近はなくなったようですが、e-mailでの「文通」です。ですから、お互いに会うことを前提にはしていません。むしろ、会わない相手と「PCを使った文通」ということになります。ところがこのピアニストのコンサートを見に行ったことから話しが急転して、ジョイントコンサートを創ることになったのです。なので、コンサートのタイトルを「ユーガットメール」としました。1回限りで終わるつもりでしたが、結構好評でしたから調子に乗って「じゃあ来年もやりましょう」と約束。翌年、小さいホールではなくて300人以上入るちゃんとした劇場を用意しました。ところが、本番直前でピアニストはNYに帰ってしまいました…。大騒ぎの結果、ようやくピアニストと出会って、第2回が出来、3回目からはピアニストはこの時であったピアニストに落ち着きました。

コンサートは落ち着いたのですが、ボク個人のモヤモヤ感は尾を引いたまま。そこで新たに「文通相手」を探してみました。様々な方がいました。すると…、簡単な自己紹介がされています。その文章を読んでみればある程度の人柄は伝わります。
その中の一人にハンドルネーム「空飛ぶブタ」がいたのです。
絶対にデブですよ、絶対。絶対に楽しい人ですよ、絶対。絶対にネアカでオッチョコチョイですよ、絶対。
と、思う反面、気が触れているかも…ヘンな人もいるからなあ…まあ、ヘンテコリンだったら返信しなくていいし、と軽く考えて、まずはそれなりの手紙を出してみました。返信はきっちりとした文章で綴られていました。ブーブーちゃんにしてはずいぶんお上品な文章を書くなあ…と感心しちゃたのです。で、「会うことがない文通相手」ですから、とお互いのルールを決めてスタートしました…。

今年でふたりのメール交換はおよそ十年間続きました。
最近ではふたりともなにか特別なことがあったときに、想い出したように書きあう程度ですが、十年間では、メールで言い合いもしました。ケンカになったこともありました。その都度、手紙文って難しいと思い知らされたものです。スタートした頃は一日に4通の日もありました。住所も知り実際の肉筆での手紙も交換しました…。「空飛ぶブタ」のメールからヒントをもらって、許可を取って、メールの文面を台本に使ったこともありました。

ブタさんは韓国の大学で日本語の教師をしています。「ことばの世界」では、ボク同様大変関心の深い人です。そんな共通性がこれだけ長い間、メール交換が続いた理由のひとつだと思います。

ブログの楽しさを教えてもらったのも実は「空飛ぶブタ」です。ブログがなにかをボクは知らなかったし、関心もなかった。そして、韓国ドラマを覚えたのも、「ブタさん」のおかげです。韓国という国に関心を持つようになったのは明らかに「ブタさん」のおかげなのです。それまで韓国はボクにとって、遠い国でしかなかったから…。韓国の徴兵制度と青年像を紹介してもらったり、韓国の平均的生活ぶりも教えてもらいました。韓国という国が身近に感じてきたのもまた、「ブタさん」のおかげです。

会うことはない「ブタさん」と、遠い国だった韓国…。

しかし、人生って思わぬ方向に向うことがあります。
ボクは十年間のメールで、仕事のこととプライベートは書かないままにしていましたから、「ブタさん」は「まさみさんって、どんな人なのか、一体どこでなにをしている人なのか知らなかった」のです。このミステリアスな関係が「メル友関係」として、ボクには丁度いいバランスだったのですが…。

ところがある日のこと、「ボクの夢」を書いたときでした。自分の仕事を初めて「ブタさん」に書かなくてはいけないことになったのです。そこで、自分の仕事のサイトを転送したのです。
それを読んだ「ブタさん」は、「学生を紹介するのなら、私が参加してみて体験してみないと力が入りませんから」と、ボクの仕事に大変な関心を示したのです。で、わざわざ韓国からボクの授業に参加しに来られました…。会うはずのない「メル友」がおよそ十年の歳月を経てはじめて出逢いました。しかもその場所はボクの「夢」の詰まっているボクの教室で。
やりにくかった、今回の授業は…。

韓国はその昔、ずっとずっと大昔。大和の国に大陸の文化を伝えてくれた。「漢字」という「当時のコンピュータ」もまた、韓国経由で大和の国に伝承されているとか…。現代韓国ではもはや「ハングル文字」という発音記号で綴られることが多く、「漢字」を見かけることは少なくなったとか。ハングル文字はその昔15世紀の韓国王朝が創ったものと聞くが、日本語と文法が似ているのは興味深い。現代韓国はキリスト教とはいえ、まだまだ儒教精神が実生活を支えているようにボクには見える。その儒教精神は現代日本の実生活にも共通してはいないだろうか…とさえ、ボクには思えるのです。年功序列の精神と縦割り人事の徹底ぶり。男女の明確な人生観の違いや、個人的誇りを大切にする生き方などなど…。昔々お世話になったであろうこの国にボクはボクなりに「夢」を描いた。ボクが見つけ出した「言語世界」を持ち込んでみようと。ボクの尊敬する白川静先生でさえ、研究の土台は「漢字の精神」だった。ことば、そのものだ。
ダメかも知れないが、ボクはまだまだ、このまま旅を続けようと思う…。

「ブタさん」は、まったく新しくなった授業に参加した。ここまで授業内容を改革するのにはボクは、ずいぶん失敗を繰り返してきた。そのたびに訂正を加えてきた。十年前と今の授業はテーマすら違っているほどだ。この授業が終わると直ぐに「創作コース」に申し込みをした。しかも、授業料までその場で済ませてしまうのです。

ということは、ボクはもはや後には引けない。「ブタさん」が創作コースに参加すると言うことは、韓国で「創作コース」を実施する必要が生じる。たったひとりの参加者のためにボクはかつて姫路、京都、新潟、仙台などにも出かけたことがあった。韓国でも同じことだ。さいわい運賃も国内の旅と比べて、大差はない。
今年、ボクの授業が韓国で行われる「夢」を描く。韓国の学生たちと話しをしてみたい。彼らの「夢」を聞いてみたいではないか。「ことばの世界」がどこまで広がりを持つか、そんなことを思うだけでも、ボクは自分の「夢」が限りなくひろがっていく。まるで大空を飛ぶが如くに…。

ただの「メル友」だった「空飛ぶブタさん」が、ボクの「夢」を一緒になって飛ばしてくれることになるなんて…。こんなことって、人生でそうそうあることではないでしょう。


…まさみ…
by masami-ny55 | 2012-01-24 03:56 | 日記


東京の日常生活と、仲間たちとの交遊録


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